英会話学習サポートアプリ LangApp
英会話学習のためのウェブアプリケーションLangAppの開発備忘録。
語学学習、特に英会話に特化した学習支援のアプリケーションを開発中で、そのプロトタイプとしてLangAppというLINE botとWeb アプリを組み合わせた形式のサービスを公開しています。 https://langapp.netlify.app/
サービス開発に当たっては、FoundX(https://foundx.jp/)の Fellows プログラムに参加してターゲットとなる顧客層と課題やサービスの内容・機能などを定めていきました。当該プログラム内では大まかに下記の 3 ステップを繰り返すことで開発を進めていきました。
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既存サービスのサーベイ
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顧客インタビューによるプロブレム仮説検証
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プロトタイプを用いたソリューション仮説検証
詳細はぜひ FoundX のページ(https://resource.foundx.jp/)へ。スタッフの皆様がたくさんの知見を記事にまとめられています。 それぞれに関して自分が実践してみての感想や考察もいずれ記事にまとめたいところです。
自分のケースをざっくり触れておくと
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オンライン英会話はたくさんあるけど、会話内容を復習することに特化したサービスはない。
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会話内容や先生からのアドバイスなど、毎回のレッスンで流れてしまって学びが定着しない。
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会話を録音・書き起こしして振り返れるようにすれば、英会話学習が捗るのでは?
というような流れで、本記事で紹介するプロトタイプを開発しました。そこに至るまでにも、
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コンセプトのみを掲載した Landing Page (+デモ動画)を使って顧客インタビュー(サイト作成には React ベースで書ける静的サイトジェネレーターのGatsbyとホスティングのためNetlifyを使用していました。)
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Figmaによるモックアプリを作成していじってもらう(https://www.figma.com/proto/s6v3AqYbMTOCvx7FJuL6ch/LangApp?node-id=30%3A349&viewport=-1418%2C-522%2C0.5&scaling=scale-down)
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またこれらを実装したウェブサイトをGoogleAdsで宣伝して Form への問い合わせが来るか検証
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音声の録音を自身でやって送ってもらい、それを自分が手作業で書き起こし(Otter という英文書き起こしサービスを使って)と分析して、レポートをお届けする
というようなことをしていました。最小のリソースで最大の学びを得るというのがプロトタイプとインタビューの目的なので、なるべく作りこまずに最低限のもので試していくべき、ということだそうです。 「スケールしないことをする」と言われているように、いきなり画一的・自動的にできるサービスを試すのではなく「手作業による価値提供でニーズを確かめる」というのも重要なポイントでした。 自分はつい開発に偏ってしまいましたが…
ここまでの検証過程の中である程度の手ごたえを感じ、やはり実際に「自分の英会話が書き起こされ分析されることによる効用」を検証してみたい、ということで冒頭で述べたプロトタイプに至ります。 開発に用いたツールやサービスは下記。
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Gatsby + Netlifyによるウェブアプリで英会話を録音
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Google Could PlatformのSpeech-to-Text APIによる音声の文字起こし(ffmpeg による音声変換も)
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Netlify functions (AWS lambdaをラップしたもの)を用いたバックエンド(音声の書き起こし、書き起こしの分析、LINE Bot のメッセージ送信の REST API)の実装
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AWS S3及びAWS DynamoDBによる音声データ・書き起こしデータの管理
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LINE Botによる書き起こしと音声、分析結果の提供
そして、このウェブアプリケーションを自身のオンライン英会話の際に使ってもらったり、自分が英会話の練習相手になる中で使ってもらい、感想やフィードバックをもらうことで仮説検証を進めました。
色々な学びがあったのですが、コンセプトを紹介してのインタビューの時とはまた違った反応や観察結果が多かったです。
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書き起こしそのものがあまりきちんとした英文になっていなくて振り返りにくい(非母語話者の学習過程での書き起こしは厳しい)
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30 分弱の英会話の書き起こしや英文を振り返るのは大変、どこを復習すべきと感じていたかも会話後には覚えていない
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オンライン英会話の時間外で自習するのも大変
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定期的に英会話をやるのは良い、効果が少しでも実感できるとモチベになる
コンセプトの実現レベルが低いがためにこうしたフィードバックになっている感も否めないものの、少し軌道修正すべきだなと感じました。
これらを踏まえて、次のステップでは「自分の英会話力と目標への距離の可視化による英会話継続支援モバイルアプリ」で検証していくことにしました。 ユーザーテストの一人一人の深さは悪くなかった一方でもう少しばらつきのある集団でかつ一定以上の人数に対して検証を進めるべきかなとも感じていましたが、自分の割ける時間の都合や開発への意欲に押されました。
音声や書き起こしを蓄積していく部分は差別化要因であると信じて変かえずに、よりシンプルに英会話のサマリーを継続的に見られることで上達や距離感を掴める、それによってモチベが上がるという方向に狙いを定めます。 将来的にはより高度な分析やレコメンデーション機能によって差別化された価値を提供できるまでになればな、という期待を維持しつつ。
コアになる機能やターゲットとする課題はこれまでのものと重なりつつも、ややピボットするような感覚です。次のモバイルアプリも、より製品に近づきながらまたより多くの人に触れてもらうことを前提としつつもプロトタイプの立ち位置で公開することになると思われます。早期リリースして記事も早く更新したいものです!